わたくしにとってロメールはまだまだ未知の世界です。
エリック・ロメール
『レネットとミラベル/四つの冒険』
夜がこれから明ける一分間の静寂が怖い。
夜行性の鳥はすでに眠り、昼行性の鳥はまだ目覚めない。
まさに判事か判決を下すような緊張感。
世界の終わりが来るとしたら、この時に違いない。
だから農民は夜明けを喜ぶ。
この瞬間を体験するのが謙虚さを学ぶ一番の方法よ。
ミラベル(ジェシカ・フォルド)の自転車のパンク修理を引き受けていきなり友達になったレネット(ジョエル•ミケル)のセリフです。
監督エリック・ロメールはこの若い女優ジョエルの体験談に触発されて、喜劇と格言劇シリーズ の最終作『友だちの恋人』の撮影合間にこの四つの冒険譚を16ミリで仕上げてしまったのですから驚きのひとことです。