mementoore

レネットとミラベル/四つの冒険のmementooreのレビュー・感想・評価

4.5
ロメールは中盤までクソ退屈だけど終盤にかけてぐっと面白くなる。
1話の終わり、「青の時間」をみにいく二人のシーンがすごい。『緑の光線』の夕暮れのラストシーンを思い出す。あくまで日常の中にあるけど魔法がかかったみたいなとんでもない瞬間が客観的にある、チャンスはいつだってそこにある。
3話、駅でレネットが詐欺で小銭を取られてしまうが、その後女性の詐欺師と口論になり泣き寝入りすることになってから、それまでの「修道女」みたいな言動が大きく崩れる。4話最後のレネットとミラベルが共犯して絵画の画廊主にレネットの絵画を押し売ることに成功する。その絵画を画廊主が客に、レネットに伝えた額の倍の値段で推し売ろうとする(ちゃんちゃん)という展開が見事。持つものと持たざるものとの絶えざる馬鹿しあい。この世の不合理をユーモラスにやり過ごしていく都市生活者の手つき。大事なことを大事なこととして仰々しく喚き立てることとは別に(これはレネットがそうなったように失語に収斂してしまう気がする)、ミラベルのような「2回同じこと言うんですね」的な揚げ足取りレベルのユーモアで軽薄に笑い飛ばすこともまた重要なこと。
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