ふむふむ

タクシードライバーのふむふむのネタバレレビュー・内容・結末

タクシードライバー(1976年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

銃の扱いだけが取り柄の若者。
実はベトナム戦争の帰還兵であった。
教育がなく周りに上手くなじめない彼は拗らせた欲求から持ち前の銃で何かを成そうとする。

この男は正義感があり、実際に売春に手を染めないどころか食い物になっている少女を救おうとしている。
なので終盤の候補者暗殺未遂も彼の正義感から来るものであった。
心身ともに社会から見放された彼のアイデンティティは武器の扱いのみで満たされない社会に対する欲求がテロといったかたちで現れる。

ただ、実際にそれは未遂で終わり行き当たりの売春の元締めの大量殺人によりヒーローに祭り上げられる。
結果、彼の衝動は未だくすぶり続け、テロ未遂で大量殺人鬼が野放しになってしまった。

少しでも社会が彼に関心を持っていればここまで酷いことにはならなかったのではないか。

舞台である1980年ごろから数十年たった今も切り捨てられた弱者がいる。
社会の関心の外にある彼らに寝首を搔かれる状況に何度遭遇したことか。
この映画はそんな社会の無関心によって見捨てられた弱者がモンスターに転じる。それを描いたものだった。
ふむふむ

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