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タクシードライバーのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
3.5
ロバート・デ・ニーロが、大都会ニューヨークで狂気と暴力に取り付かれていくベトナム帰還兵を演じた話題作。
監督はマーティン・スコセッシ。
脚本はポール・シュレイダー。
カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞
原題: Taxi Driver (1976)

ニューヨーク。
ベトナム戦争から帰還し不眠症に悩む元海兵隊員のトラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)はタクシー・ドライバーとなり、夜の町を流す。
麻薬患者、娼婦、ポン引きなどがはびこる夜の街に嫌悪感を抱くようになり、遂に町を浄化しようと、まず、浄化に同意しない次期大統領候補(パランタイン上院議員(レナード・ハリスノ)の暗殺を企てる。
更に、12歳の少女アイリス(ジョ
ディ・フォスター)に売春させているポン引き(ハーヴェイ・カイテル)とその仲間に銃を向ける…。

~他の登場人物~
・ベッツィー(シビル・シェパード):選挙事務所の運動員。ポルノ映画に誘われる。
・トム(アルバート・ブルックス):選挙事務所の運動員。
・ウィザード(ピーター・ボイル):先輩のタクシー・ドライバー。

「夜になるとケダモノばかり現れる。売春婦、クソ野郎、弱虫、ホモ野郎、オカマ野郎、麻薬中毒者。病んで、腐ってる。いつか、クズどもをみんな、通りから洗い流す雨が降る」
All the animals come out at night - whores, skunk pussies, buggers, queens, fairies, dopers, junkies, sick, venal. Someday a real rain will come and wash all this scum off the streets.

「違うわ。矛盾という部分よ。あなたは矛盾の塊よ」
No, no. Just the part about the
contradictions. You are that.

陰湿な夜のニューヨークを写したマイケル・チャップマンのカメラ、ジャージーなバーナード・ハーマンの音楽が作品を特徴付ける。
(Jackson Browneジャクソン・ブラウンのLate For The Skyレイト・フォー・ザ・スカイも使われています)
また、主人公のナレーションで物語を説明するのもスコセッシ監督の好む方法。
さて、目的(少女の救済)による手段(ギャングの殺人)の正当化は許されるのだろうか?
主人公に感情移入し過ぎると、ジョン・ヒンクリーのようにレーガン大統領暗殺未遂事件を起こすことになるが、トラヴィスに共感する人間が少なからずいるのも事実。
しかも、銃が簡単に手に入れば、暴力への衝動の具体化(殺人の実行)はより簡単になるだろう。
問われるのは、社会及び私たち自身のモラル(道徳)。
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