イチロヲ

サイレント・ランニングのイチロヲのレビュー・感想・評価

サイレント・ランニング(1972年製作の映画)
4.0
荒廃した地球の緑化政策を推し進めている青年が、自らの信念を貫くべく、上官の指令に反旗を翻す。自然保護をアイデンティティにしている青年の粉骨砕身を描いている、アメリカン・ニューシネマ。

人類が地球外に進出した近未来を舞台にして、 自然保護のためにはテロ行為も厭わない、型破りな青年の人間模様を描いていく。端的に言うと、フラワーチルドレンの思想をSF世界に持ち込んで、宇宙空間でアメリカン・ニューシネマをやっている作品。

監督が「2001年宇宙の旅」の特撮に携わっていることもあり、広大な宇宙空間のクオリティとメカニック・デザインが洗練されている。ロボットの中に身体障害者の演者が入っているところにもビックリ。

主人公への感情移入が困難であり、自然保護研究家としての素質にもツッコミどころが満載だが、「地球の存亡を憂える気持ち」を起点とした、トランス状態を楽しむことができる。「頭がイッちゃった人間の学者脳」という観点では、このドラマ展開が正解。
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