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眼下の敵のmarohideのレビュー・感想・評価

眼下の敵(1957年製作の映画)
3.0
 ここまでさっぱり爽やかな後味を残す戦争映画が作れること自体が実にアメリカらしい。戦争の結果を踏まえても、他の国ではこのような映画は作れまい。青春モノかスポーツモノか、その手の映画を見終わった後の様な気分である。たまにはこういう素直な作品もいい。大団円を嫌味なくやれるのがアメリカ映画の良いところですよね。

 潜水艦映画にハズレなしとはよく言ったものだが、これは対潜水艦戦のもつゲーム性が映画とよく噛み合うためだろう。互いに限られた情報を手札としてカードを切り合うプロットは、観客側も楽しめるゲームの対局に似ている。
 相手の腹を探り合ううちに敵同士である艦長たちに奇妙な絆が生まれる、というのもよくある展開だが、このようなフィクションっぽい人間関係を違和感なく受け入れられるのも、血なまぐさい陸上戦とは違う潜水艦という舞台の特色だと思う。

 潜水艦映画にはお決まりの、物音を立てずに様子を伺う静寂のシーンが好き。緊張の合間の兵士たちが雑誌を読んだりボードゲームに興じたりと思い思いに過ごしている描写、特に「ローマ帝国興亡史」を読んでいた兵士がなんか妙に良かった。ドイツ兵が歌うシーンも良い。

 飛び抜けて感じ入った部分はあまりないが、期待通りに面白い、丁度良い作品という印象だった。機雷爆発のシーンはいかにも本物らしく迫力がある。
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