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ドラゴン危機一発のふーたらのレビュー・感想・評価

ドラゴン危機一発(1971年製作の映画)
3.0
2020年7月3日から公開が始まった、ブルース・リーの4Kリマスター復活祭。
ゴールデン・ハーベストものの4作品の「ドラゴン危機一発」、「ドラゴン怒りの鉄拳」、「ドラゴンへの道」、「死亡遊戯」の4本が対象となっています。ちなみに、日本にドラゴンブームを巻き起こすきっかけとなった「燃えよドラゴン」は、残念ながら大人の事情(権利がワーナー?)で含まれません。

今回観たのは、「ドラゴン危機一発」です。

この作品は、アメリカで「グリーン・ホーネット」で成功した後、香港に戻ってきてからの成人後初主演映画です。
日本では、ブルース・リーの死後、1973年の「燃えよドラゴン」のヒットを受けての、翌年の1974年の上映でした。

当時、子供達は、みんな、「アチョー」ってヌンチャクを振り回していたと思います。ドリフターズのネタでも、すわしんじさんがやってたほどです。
私も、そんな子供の一人で、子供の頃に何度か観たけど、ところどころの記憶しかなく、その記憶も若干美化されている状態での、鑑賞です。

率直な感想として、今見ると「なんか変な映画」って感じで、ブルース・リーの格好良さ以外のツッコミどころが気になって仕方なかったりします。

あらすじとしては、親戚のツテで、タイの製氷工場に出稼ぎに来た青年が、製氷工場のオーナーに親戚や仲間達が殺されて、愛する女性もさらわれて、仕返しに行くっていうお話しです。

かなりバカっぽく、つい失笑しがちな場面が多いです。

仲間が行方不明になったり、殺されたりしているのを不審に思って、工場長相手にストライキをしようってことになった結果、ケンカに発展して、そのケンカの中で工場側の輩が全員ブルース・リーに倒された挙げ句、その強さを見て味方に丸め込もうとした工場長におだてられて、現場監督をまかされたら、ストライキの首謀者もブルース・リーも有頂天になってチャラけた行進をして喜んでいたら、ヒロインに行方不明はどうなったのか問いただされてあたふたしたりします。

で、あたふたして、工場長を改めて問い詰めに行ったら、酒の席に誘われて、調子よく酒を飲まされて、女郎屋で一夜を明かす羽目になって、しかも、その朝、女郎屋を出るところで、ヒロインとばったり出くわして、仲間からも引かれてしまう始末。

さらに、悪事を暴いて戻ってくると、ヒロイン以外は皆殺しにされていて、復讐の鬼と化したものの、すぐに復讐に駆けつけるかと思いきや、復讐に向かうのは夜が明けてからで、しかも袋菓子片手に、ゆうゆうとお菓子をかじりながらの登場ってな感じです。

まあ、その前に悪事の舞台が製氷工場ってことで、麻薬や死体を隠し場所が、氷柱なので、丸見えだったりします。

しかも、この映画では、ブルース・リーのトレードマーク的な「アチョー」って怪鳥音もなければ、ヌンチャクもありません。
自分の血を指で拭いて、その血を舐める仕草はあります。

ただただ、ブルース・リーの戦う姿を愛でるだけで、全て許せちゃったりします。
まあ、敵と言うか、ブルース・リー以外が余りにも弱すぎるので、格闘のスリリングさなんかは無いんですけど。

ブルース・リー初心者の方は、作成順に、この「ドラゴン危機一発」から見るよりは、「ドラゴンへの道」か「燃えよドラゴン」から観た方が良いと思います。
それで、ブルース・リーにハマったら、この「ドラゴン危機一発」で、ブルース・リー伝説の原点を知るってのが吉です。

(2020/07/04 小倉コロナシネマワールド 2D)
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