ひば

地球の静止する日のひばのレビュー・感想・評価

地球の静止する日(1951年製作の映画)
4.2
面白かった!真面目で知識豊富で不快にならない尊重の心さえあれば人はなんとなくその人を信じるけど属性や役職名がついた途端に信じなくなる。"一番凄い人"に当たるのが宇宙人的には哲学者や思想家で、子供にとっては近くに住んでる科学者なのも面白い(そして科学者は「我々は誤解されやすい」と語る)。為政者や金持ちじゃない。聡明な子をパートナーにするのではなくそれを与えた柔軟な思想と社会性ある母を選ぶのも合理的。アメリカでは40年代後半からフライングソーサーで大盛り上がり真っ只中。最初は過去の大戦で秘密裏に大量破壊兵器を作ったことから政府の兵器説が多数を占めたが、現代科学では証明できない事例に加え物理的証拠はないが学識者を名乗る者の発言により多くの人が宇宙からの訪問説を信じるようになった。そして同時に当時の核戦争への恐怖の背景もある。ちょうど同じ時期に公開された『遊星よりの物体X』も異星人が人間そっくりという話で、当時のアカ狩りを彷彿とさせる。侵略者は隣人であるかもしれない恐怖。結局は実益ある目的は巨大な抑止力の元に成立するけど傘下に幸福や自由とかはないんだろう。「完璧とは言えないけど」という付加が重い。脅威を感じない理想の存在としては支配権を握らず自分の思う範囲内で賢い(逆に言えばほどほどに馬鹿で隙があってほしい)ということがすごく重要で、退屈でもなくインスピレーションを与えてくれる程度が良いってのはけっこう傲慢だよなぁ。やっぱ相手に自分よりもより妥協を求めてるよなって。あと見てて太陽信仰にも近いものをなんとなく感じた。ちなみに1940年アイザックアシモフが提唱したロボット工学三原則では
1. ロボットは人間に危害を与えずまた危険を看過しない
2. ロボットは人間に与えられた命令に服従する(1に反する場合を除く)
3. ロボットは自己を守る(1、2に反する場合を除く)
とあるが、ゴートの判断基準はまぁ合ってるっちゃ合ってるがそれが数多に存在するならまた話は違ってくるよな。60年代はキューバ危機でピリピリしますが、SFブームの後押しもあり宇宙探査もエネルギッシュに発展したので宇宙に向け国で競争し協調し開拓し技術を磨くようになればいいですよね。奇しくも「核兵器禁止条約 50ヵ国に達し発効」 というニュースを本日目撃しましたが唯一の被爆国日本は入っていないというね。どんなフィクションにも敵わない本物の地獄を見た唯一の国なんだから意見が世界をどう左右するかもっと真剣に考えた方がいい。そういえばキアヌの方のリメイクは見てません
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