ひば

パスト ライブス/再会のひばのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.4
コップに半分水が入ってたとして、「半分しかない」か「半分もある」かみたいな。人そのものに個人の追憶と郷愁を同時に委ねるのは難しくない?記憶って体まるごとの体験で覚えるものだから再会場所が違ったらきっとまた違うものになってただろうね。メール越し、フェイスタイム越しとはまた違うんだよね。「13時間かけて会いに来る人を拒めない」っていうのもわかる。なんだろうね、人間ってやっぱ重きを置くのが場所じゃなくて時間なんだよね。韓国語を勉強し始めて4年くらい経つんですが、そんなわたしでもわかるようなかなり簡単な会話でほとんど物語が形成されていることに驚きを感じます。それは関係を深めるのに難しい言葉を使う必要がないということだったり、汎用性の高い単語で社会の大部分は構成されてるのだということだったり、極度に簡略化された末言葉ってなくなりそうだよなとも。仲を深めるっていうのはツールという繕いを捨ててくことなのかもな。帰り道に親密そうに歩く人たちとすれ違う度「前世で何かあった人たちだ」と数えていったけどどうも違うと思った、わたしは前世とかの縁より、クモの巣のように絡み合い互いに作用し合う"縁のなかのわたし"という仏教的考えの方がしっくりくる。縁は全体に働いているのでピックアップしてどうこうできるものではない。最後まで見て、無意識に沈んでるもんが一番強くて怖いぜと思いました。初恋の人と今気になってる人の間で悶々とする作品ではドラマ『ある日、私の家の玄関に滅亡が入ってきた』が一番良い答えをくれたかな。
アーサーには記憶の彼方にいるキングルーを忘れないでほしいですね
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