1970年代の「オリエント急行殺人事件」「ナイル殺人事件」と比べると、クリスティ物の映画化作品としては、キャストからして若干小粒感がなくもないが、全体的に良く出来た洒落たミステリー。
原題の「Evil Under the Sun」(白昼の悪魔)に相応しく太陽がサンサンと降り注ぐヨーロッパの高級リゾート地という舞台設定、そしてオスカー衣装賞候補にも選ばれた素晴らしい1930年代のファッションの数々。
そして、フランスというお国柄を体現するかのような存在である女優、ジェーン・バーキン(エルメスの“バーキン”は彼女がデザインしてエルメスに発注したのは、もう誰もが知ってる有名な話)がラストに登場するシーンでは、なんと美しいことか!!あ、これ、ネタバレになっちゃうかな・・?
この作品でバーキンの夫役を演じたニコラス・クレイ。シルビア・クリステル主演の「チャタレイ夫人の恋人」でも、重要な役どころの森番の役を演じていて、将来が有望視されていたにもかかわらず、若くして病死していること、今、知った。イギリスを代表する二枚目俳優として活躍できただろうに残念。