Haman

皆殺しの天使のHamanのレビュー・感想・評価

皆殺しの天使(1962年製作の映画)
3.7
晩餐会を開いた20人の紳士淑女が部屋から出られなくなる話。

呪いの館に閉じ込められるとかそういうことでなしに、開け放たれた扉の敷居を何故か跨ぐことが出来なくなる不条理劇。
食糧も無くなり風呂にも入れず病人が居ようともどうすることも出来ない。空腹と悪臭で心が荒んでいがみ合い、挙げ句の果てには強姦をしようとする輩まで出てくる。
ブルジョアしかいないはずの空間で段々とスラムが構築されていく訳だから、階級社会への皮肉なのかなと思って付属の解説書を読んだらば、ブニュエル本人が「メッセージ性とか無いから」って明言してるみたいでしてやられた感はある。
でもでも、ちょっと踏み出せば違う世界が見えるのにウダウダと毎日同じことの繰り返しのこんなクソつまらん映画みたいな人生で君は良いの?って笑われてるような、底意地の悪さは絶対にある。

評論家達がこぞって「あの小熊の意味はなに?」とブニュエルの長男に聞いた時に「は?パパは熊が好きなんだよ」って答えさせてたエピソード超好き。
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