あきしげ

死霊のえじきのあきしげのレビュー・感想・評価

死霊のえじき(1985年製作の映画)
4.0
ジョージ・A・ロメロ監督とは、
「ゾンビ映画の元祖」
「ホラー映画の巨匠」
「カルト映画の鬼才」
それがジョージ・A・ロメロだ。

本作は『ゾンビ三部作』の最終章。

一作目で世界に多大なる衝撃を与えた、
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』

二作目はゾンビ映画を定着させる、
『ゾンビ』は今でも語り継がれる。

そして、本作はゾンビ世界を語っている。
まさにジョージ・A・ロメロ監督らしく、
彼なりのゾンビ哲学を取り入れた内容だ。

科学者サラ、
ロリー・カーディルは、
強い女性だ。

ローズ大尉、
ジョセフ・ピラトーは、
上手い悪役。

ローガン博士、
リチャード・リバティーは、
狂うほど良い。

ヘリの操縦士ジョン、
テリー・アレクサンダーは、
ロメロ哲学の代弁者。

無線技士のビル、
ジャーラス・コンロイは、
おいしい役回り。

最後に本作の裏主人公を紹介しよう。

バブだ。

彼こそが本作の象徴とも言える人物。

いやっ、

正確に言えば本作を象徴するゾンビ。

昨今では走るゾンビが主流。
でも、本作はあくまで王道。
オールドスタイルの原点だ。

バブこそは新たなるゾンビ像を生み出している。
進化したゾンビという設定でやる作品は多いが、
本作のバブは先取りと言ってもいい存在である。

ジョージ・A・ロメロの作るゾンビ映画は、
単なるグロテスクな描写や、
単なるカニバリズムの映像、
単なるゴーマニズムの哲学、
そんな安易なモノで片づける内容ではない。

ゾンビ映画として完成し、
ホラー映画として恐怖を与え、
哲学映画として語られる。

本作をただのゾンビ映画として侮るべからず。
本作はただのゾンビ映画として観るべからず。
本作がただのゾンビ映画として思うべからず。

ジョージ・A・ロメロ監督に拍手を。
偉大なゾンビ映画の最終章に拍手を。
最後に本作の裏主人公バブに答礼を。

RE-63
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