ちろる

イヴの時間 劇場版のちろるのレビュー・感想・評価

イヴの時間 劇場版(2009年製作の映画)
3.8
もっとポップな感じだと思って軽い気持ちで観たけれど、
アンドロイドがどの家にも一台あるという近未来を舞台に、アンドロイドと人間の関わり方について問いかけるかなり大人向けの考えさせられる作品であった。
ハリウッドでの「her 」や「エクスマキナ」などでも見られたように、AIテクノロジーの発展によってAIが人間並みの、むしろそれ以上よ感情や能力を持つ可能性があることは素人からみても想像できるのだけど、実はそれがもう現実目の前に来ようとしているということは実感はできない。
なんでも自分の執事のように「言われたことだけやっていれば良い」と思う存在が、意思を持ち感情を持ち自由に動くことに苛立ちを隠せない主人公の少年は身勝手のように見えているけど、突然テレビが反応しない、携帯が通信不良とかで私たちが苛立つのもこれと同じことなんだろうな。
旧型のものは次々と廃棄され、それでも主を失ったアンドロイドたちが町中に潜むことに創造主たちが、脅威を感じ始め回収に躍起になる。
そんなアンドロイドたちの隠し砦ともなる秘密のカフェが「イブの時間」の境界線のないアンドロイドと人間との関わり合いは、近未来を描く「ブレードランナー」を思い出した。
これはたしかに未来を描いたものではあるけれど、私たち人間倫理観や道徳観は未来に都合よく変化していくものではない。
だから本当にこんなことが起こった時にどうするべきなのか、アンドロイドたちに感情に近いものが生まれた時それでもアンドロイドたちを単なる使い捨て機械として扱うのか、本格的に考えるべき時が近いような気にさせられるお話でした。
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