さすらいの用心棒

大菩薩峠のさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

大菩薩峠(1957年製作の映画)
3.7
理由もなく人を斬り捨てる机竜之介(片岡千恵蔵)と周囲の様々な人々の生と死を見つめた全四十一巻の大長編、三度目のシリーズ化。

以前に岡本喜八監督の映画化作品も見ていて内容は知っていたが、東映の巨匠・内田吐夢監督の演出も見たくて。
『大菩薩峠』はこれまでに五回もシリーズ化されており、本シリーズのたった四年前にも、渡辺邦男監督バージョンで片岡千恵蔵が三部作の同シリーズを終えたばかり。その片岡が本作でも同じ役で続投し、またもや三部作で演じている。
ふだん、いい人や徳のある人物の役が多い片岡千恵蔵が反転してニヒリズムに無差別殺人を行う机竜之介を演じているのは面白いし、セリフの間の置き方や声の深みにもめちゃくちゃ痺れるが、声が太いのとガタイがいいせいで色白である机竜之介のイメージに合わないのが瑕(笑) 初見の仲代達矢の印象があまりにも強すぎるためか。
最後の最後に小池朝雄がチョイ役で出演していたのが、嬉しいサプライズでしたね(笑)
原作では「大乗仏教」の思想が反映されており、核になっているらしいが、あいにく教養がないのでわからない。いつかわかる日は来るのだろうか。