ハレルヤ

ピアノ・レッスンのハレルヤのレビュー・感想・評価

ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)
3.8
1850年代のニュージーランドが舞台。失語症で言葉の代わりにピアノで会話する女性のエイダとその娘のフローラ。結婚を機にこの地に足を踏み入れるも現地に住むベインズに心惹かれる。勝手に決められた結婚と本当の愛の狭間で苦悩するエイダの姿を描いたドラマ。

正直ストーリー的には登場人物ほぼ全員に共感できず。悪い言い方すれば皆勝手だし、やる事なす事駄目な方へ行くような事ばかり。なのでそういう意味ではずっと苦い気持ちで見てました。

そんな苦さを中和したのが劇中の雰囲気と音楽。一歩間違えたらただゲスいだけの泥沼恋愛物語なのに、ピアノの美しい旋律と舞台となったニュージーランドの手付かずのような自然が作品をドラマチックに彩っていました。

そして本作でオスカー受賞のエイダ役のホリー・ハンターの演技は当然必見もの。言葉が話せず手話と表情とピアノで全てを語るその役柄を自然体で演じてみせました。

同じくオスカーで助演女優賞に輝いたアンナ・パキンも当時11歳とは思えない迫真の演技には釘付けでした。母親を愛しているも複雑な関係に陥っていくのに戸惑う姿。そして終盤で母が受ける仕打ちに泣き叫ぶ姿は忘れられないです。

ハーヴェイ・カイテルやサム・ニールという良い俳優たちも彼女たちの名演には飲まれていた感じがしましたね。まさにキャストと作風の勝利です。
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