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おしゃれキャットのotomisanのレビュー・感想・評価

おしゃれキャット(1970年製作の映画)
4.2
 公開当時既にアニメは過去のものと感じていたが、数秒の断片を見た感想を今も覚えている。独特の筆使いと造形がディズニーなのかと思わせた。それから半世紀もして再見となった。
 我が家は専ら犬派の血と見え、猫共十匹ほどはいずれも近隣のごみ箱好き連中であるが来ないよりましである。オマリー風は2匹、ダッチェスは中々居た例がない。映画での二人の睦まじさは素敵であった。しかしこの映画のよさは主に、背景となる風景や老婦人を始めとする人物などの絵の具合の良さに感じられる。この感想は半世紀変わらない。そして物語の1910年パリとの設定が独特の色を添えていると感じる。
 幸せは長続きしないとは知れた事だから殊更言うまい。それでも、この街のこの屋敷の老婦人と各面々の幸多かれを願った。パリには、度々戦火戦闘の場になりながら妙に昔風情を感じる景を見る。そんな景色を見る度、ダッチェスやオマリーたちがどこかに紛れているような想像を催すようになる。そんな気がした。
 気が付くと、内なる犬がバカァこけと騒ぐ。我が家最後の犬、ヒミコもよく手の届かないおもちゃ、猫共に扼腕していたものだ。全ては夢の話なんだが、それでもいい夢を見た気がする。こいつはナポレオン隊長も同意だろう。
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