ワルキューリ

ブリキの太鼓のワルキューリのレビュー・感想・評価

ブリキの太鼓(1979年製作の映画)
3.8
大人になるのを3才で「止めた」子供オスカルのおはなし。

これだけだとファンタジックなものだと思いがちだけど、舞台はナチス・ドイツ併合前後のダンツィヒ。
大人の世界の生々しさを知ったオスカル、しかし子供の世界でも容赦なく洗礼を受け逃げ場を無くす。時を同じくし、ポーランドを併合したナチス・ドイツによりある者はユダヤ人として迫害を受ける前に自決、またある者は反抗し掃討され、多くの者は迎合するも、終戦とともにやってきたソ連兵の暴虐を浴びる…

3時間弱の尺にあらゆる不道徳、不愉快、不条理を詰め込んだ異色の戦争映画。
自分たちが生きるこの世界も、子供の感性を残したままなら全く別物なのかもしれない。