イワシ

男の争いのイワシのレビュー・感想・評価

男の争い(1955年製作の映画)
4.0
原作で極めて印象的だった虐待、拷問、残酷に始末され野良犬の死体ように捨て置かれる人々等の血腥い要素は製作年を考えれば当然捨象され、争いの前提だった強盗場面が事前準備まで遡って詳細に演出される。それ故ダッシン自身が演じる裏切り者を射殺するワンカットが突出して印象に残る。

処刑を行うジャン・セルヴェ視点のショットがかなり強烈。引き金が数回引かれて、硝煙が漂い、密告者がくりとうなだれる。裏切り者が死ぬまでのワンカット。「それが掟だ」という最期の言葉もジュールス・ダッシンが口にすると歴史の影が仄かにかかる。

原作では敵対する三兄弟がアラブ人だったのだが、映画では姓が変更されている。おそらく人種も変わっているのか?ダッシンが差別的な描写を嫌って脚色を加えたらしいがこの部分のことか?アラブ人犯罪者として出てくるフランス映画といえばモーリス・ピアラ『ポリス』だが他にもあるのか?
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