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フレンチ・カンカンのkojikojiのレビュー・感想・評価

フレンチ・カンカン(1954年製作の映画)
3.7
「このあたりは物騒ですから、決してはぐれないで下さい」
と添乗員が何度も言っていた。
バスを降りると、あのシンボルの赤い風車が目の前に広がった。ここがあのロートレックが描いたムーラン・ルージュか。歴史の中に突然放り込まれたような不思議な気持ちで、鳥肌が立つ思いだった。それが第一印象。
ムーランルージュの中は思いのほか広く、薄暗かった。壁は薄いピンク色でずいぶん古い建物のような記憶だ。しかしそれがパリの歴史の匂いを感じさせた。私達はそこで簡単な食事をとりながら、酒を飲み、ショーを見た。もちろんフレンチカンカンも。もう30年以上も昔の話だ。

この映画はこのキャバレー「ムーラン・ルージュ」とフレンチ・カンカンの誕生を、様々なエピソードを交えながら色彩豊かに描く。
映画は、場面、場面が本当に色鮮やかで美しい。ムーランルージュのピンクの壁の印象が映画全体のイメージになっている気がした。
アメリカから17年ぶりにフランスに帰ったジャン・ルノワール監督の傑作オペレッタだ。

1888年、パリ。興行師ダングラール(ジャン・ギャバン)は下町モンマルトルのキャバレーで踊り子ニニ(フランソワーズ・アルヌール)を見初め、自分の店の踊り子にスカウトする。  
タングラールは自分の店を売り払い、キャバレーを買い取って「ムーラン・ルージュ」を開店する予定でいたのだ。そのキャバレーでは、このニニを踊り子たちの中心に据え、カンカンを上演する予定にしている。
しかし、開店の準備を進めるうちに、次から次へとトラブルが舞い込んてくる。

中年のジャン・ギャバンが、いつもの印象とは違う軽妙な役を演じている。ヒロインのニニ役のフランソワーズ・アルヌールは明るく元気で気持ちがいい。彼女の明るさが映画全体を覆っている感じだ。

これに加えてエディット・ピアフを始めとするシャンソン歌手たちがゲスト出演して花を添えている。

当然、映画のラストはフレンチカンカン。
ムーラン・ルージュが熱気と、笑いと拍手で一体化する。
すごく楽しい映画だった。

#1939 2023年 469本目
1954年 フランス🇫🇷映画
監督・脚本:ジャン・ルノワール
ルノワール監督はあの印象派の画家ルノワールの次男。
ドイツに占領されたフランスからアメリカへ渡る。アメリカでは「南部の人」などを撮り戦後イタリアを経て帰国。最初に撮ったのが本作であり、監督にとっても記念すべき作品になっている。
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