ピロシキ

あるじのピロシキのレビュー・感想・評価

あるじ(1925年製作の映画)
4.2
男が稼ぎに出る。女が家を守る。家族がメシ食えてるのは、男が働いてるから。だから男は、家で偉そうにしていい。俺がこの家の「あるじ」だからだ、と。家父長制にかこつけて意地でも台所に立とうとしない今のオジサンたち。「俺は考えが"昭和"だから仕方ない」だなんて、この映画観てからも言えるか。1925年、日本が大正時代だった頃すでに「汝、妻を敬え」と強烈に訴えかけていたこの映画をもってして、その言い訳は通用するか。

それは悲しいかな、いつの時代でもどの地域でもタイムリーなテーマ。昭和を迎えた日本にも、内弁慶の父の脆さや、家を支える母の強さを写した小津さんや溝口さんがいたはずなのに。ほんとうに、100年経っても男ってやつは……と、またあのバァチャンに睨まれそう。まさか100年前の映画に泣かされそうになるとは思わなんだ。
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