元始堀江美都子は太陽であつた

あるじの元始堀江美都子は太陽であつたのレビュー・感想・評価

あるじ(1925年製作の映画)
3.9
 話の小ささ、みみっちさが面白い。個人的に最高だと思ったのがヨハネス・マイヤーが家にいるときの挙動で、妙に悠揚としているのだが、意味のあることをひとつもしてなくて面白すぎる。仕事してないっぽいのに外に出て行って、ちょっと経つと戻ってくるのもしょうもなくて腹立たしい。なんなんだお前。
 一方、女性陣――アストリード・ホルム、マチルド・ニールセン、あと子供たちが、てきぱき働く姿を明らかに対比的に描いており、しんみりさせられた。「(パンの)バターの量が少ないぞ」とか言われたアストリード・ホルムの行動だの、出奔する直前の伏線回収だの、気の利きっぷりが尋常ではない。あんたがこの男をここまでの逸材にしたんじゃないか、という気もしなくはないが。
 しかしラストでヨハネス・マイヤーがすっかり参ってるところに、アストリード・ホルムが戻ってきて、ようやく会えるのかと思いきや、そこから詰め将棋みたいにヨハネス・マイヤーの自尊心を折りにいくのがすごい。