フラハティの自然主義的表現とムルナウの卓越した演出が合わさり最高に見える!……かと思いきやムルナウの演出(と思しきもの)が西洋的で南国の雰囲気と合致していない箇所も多く、悪くはなかったけど期待したより良いとも思えなかった。
一方セルフオマージュ的ヤシの木のカットや人々が一斉に海に出るシーン等、フラハティが撮ったであろう箇所は安定の自然さがあって実に眼福だったが、かといって全編これなら殆どモアナと変わらないだろうも思えたし、やはり差別化の為にもムルナウの演出は必要だったのだろう。
南国の人々の因習に関する物語を西洋的演出を加えて描くというコンセプトのおかげで、他に類を見ない作品には仕上がっていたが、好きな監督二人のコラボレーションということで期待を大きくして鑑賞したのは失敗だった。