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メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬の4423のレビュー・感想・評価

4.0
「俺が死んだら故郷に埋めてくれ」

創作においてはよく見かける言葉だが、それを実際に実践した人間は果たしてどのくらいいるのだろうか。

タイトル通り、メルキアデス・エストラーダという人間が3回、埋葬される話である。「死んだら家族のもとへ、ヒメネスという村に埋めてくれ」という友人との約束を果たすため、テキサスから国境を越え、メキシコへ向かう。男(メルキアデスの友人)と男(メルキアデスを誤射した人間)と腐りかけたメルキアデスの死体との旅のはじまりだ。

だが、その道中でメルキアデスには家族もおらず、ヒメネスという村も存在しないことがわかる。メルキアデスは、どこに埋められるのだろうか?

ロードムービーにしては珍しく時系列がシャッフルされていて、必ずしも一本道になっていない部分がおもしろい。美しい風景のなかに置き去りにされた、がさがさに渇ききった感情と男たちの孤独が大変素晴らしかった。そして最後の短い言葉のために、すべてがある。

嘘のなかに希望を見出だした男と、その嘘に付き合ってあげる友人。メルキアデス・エストラーダは3度目の埋葬で、安らかな眠りにつく。
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