chako

哀愁のchakoのレビュー・感想・評価

哀愁(1940年製作の映画)
4.0
モノクロ映画が観たくて鑑賞。
悲恋なのにこんなにも美しいと思うのは時代のせいだからでしょうか。

第一次世界大戦中のロンドン。
空襲警報が鳴り響く街中で出会った二人の男女が逃げ込んだ地下鉄の駅で時間を共にし、惹かれ合う。けれど男は明日、戦地に立ってしまう。

キャンドルの灯りの元、日本では「蛍の光」で有名な 「Auld Lang Syne」
をBGMに踊るシーンはとてもロマンチックで、もう一度会いたいと願いながらもきっとこれが最後になるだろうと確信している二人の別れは切なかった。

そこからテンポよくストーリーは進んでいくけれど、戦争がきっかけで生じてしまったすれ違いは彼女を哀しい決断へと導いてしまう。

ヒロインのマイラは純粋すぎる程純粋な女性で、ちょっと違うけど、「風立ちぬ」の菜穂子が好きな人には美しいところだけ見ていてほしかったように、彼女達に共通するのは真っ直ぐすぎる程の純粋さと潔癖さ。
だからこそたった一度の間違いも許せない。例え相手が許したとしても自分が許さないし、許せない。

「Auld Lang Syne」が切なく響き、美しくも哀しい物語。
二人が出会った場所である「WATERLOO BRIDGE」が原題だけど、「哀愁」という邦題をつけたのも素晴らしい。
chako

chako