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パピヨンのvanのレビュー・感想・評価

パピヨン(1973年製作の映画)
4.0
ワニ、生きてンじゃん!!🤣🤣


【事のあらまし】

無実の罪で終身刑を受けた男、パピヨン。
獄中でニセ札づくりのプロ、ドガと出会う。
2人は仲間を集め、牢獄から脱獄を図り成功する。

孤島から脱出するため。
秘密裏に用意していた船が。
全く使い物にならない出来だった。

彼らは、脱獄不能の孤島から無事に。
逃げる事ができるのだろうか……。


【序盤の展開】

『脱獄映画に、ハズレ無し』

格言を裏付ける、とても白熱した映画でした。

2人を孤島の牢獄へ。
運ぶ船の上の生活が、もう絶望的。
船の甲板の上での食事は屋根がなく大雨で。
スープではなく、ほぼ雨を飲んでるのが印象的。

その後の狭い空間で。
何人もハンモックで就寝する。
不気味な光景が、恐怖を募ります。
しかし、まだまだ序盤です。

そんな恐怖を感じながらも。
パピヨンの精悍さが、観客の心の支えになります。
この屈強な男なら、脱出できるんじゃないか。
だってスティーブ・マックィーン氏だよ?
しかしその考えは、彼の独房行きで。
脆くも崩れ去ります。
 
牢の不衛生、暗闇の狂気。
痛さ、苦しさ、孤独と狂気。
あんなに精悍で屈強だった彼が。
見る見るうちに弱体化していく恐怖。
ここは作り手が、必死で観客の平静を。
バッキバキに、へし折りに来ていますね。

辛いながらも、非常に見ごたえのある山場です。
 

【中盤以降の展開】

牢獄の脱走は、やや拍子抜けする所もあります。

しかし、最初は加担の気が無かったドガが。
パピヨンの脱出を手助け、共に逃走を決め。
塀を越える所は、行け! 行け! 行ってくれ!
そう、手に汗握る演出が楽しめました。

物語の流れが、転々として飽きません。
流れが変わる転機が、適度にありました。
物語が終わるなという節目も、ありました。
しかしそれでもなお、パピヨンは諦めない。
諦めず、自分の夢を貫くため。
物語は思惑を超えて続きます。

続くことが良い事なのか、悪い事なのか。
観ているこちらはもう、正常な判断が付きません。
悲痛な展開の応酬に、私の心はボロボロでした。
同時に、人物達も身も心もズタズタになりながら。
必死に生き抜いて行きます。


対照的な人物像が、ラストに響きます。

パピヨンとドガ、二人の対照的な人物像。
性格、思考、態度、生き方、全て真逆の性格でした。
しかし、一つだけ共通していた事があります。
それはお互いの存在を、何より大切にしていた事。
2人が最後に見せる行動に、胸を熱く打たれます。
 

挑戦を止めない行動力。
最後まで決して諦めない精神力。
パピヨンの執念が、劣悪な状況を照らし。
最後に取った、大胆不敵で彼らしい行動。
ドガも、我々も、それを噛みしめます。

これこそが、パピヨンという漢です。
これこそが、映画の最大の旨味です。
 
最後の光景を胸に刻みながらも。
心ゆくまで深く深く、噛みしめるのでした。
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