カンヌ映画祭パルムドール受賞作。実際に起こった石油実業家死亡事故の謎を検証する社会派映画。監督は「シシリーの黒い霧」（1962）など世界三大映画祭を制したフランチェスコ・ロージ。

1962年10月、シチリアからミラノ空港に到着間際の自家用機が爆発炎上した。乗っていたのは戦後イタリア復興のためメタンガスや石油事業を展開していた英雄的人物エンリコ・マッティ（ジャン・マリア・ヴォロンテ）。不可解な事故は仕組まれたものだったのか？アメリカ国際石油資本と真っ向から対立していた彼の半生を再現し、実際の関係者インタビューも絡めて事件の謎を検証する。。。

マッティ氏の死の謎を追う政治スリラーと並行して戦後世界の石油利権の構図が描かれていてとても興味深かった。終盤、本作公開前の1970年に起こった「デ・マウロ事件」が挿入される。当時マッティ氏の事件を追いけていたジャーナリストのデ・マウロ氏がマフィアに拉致され殺害されたもので、本事件を取り扱う危険性を伝えると同時に“他殺説”の判断材料として提示されている。

一人の人物の生き様を通して戦後世界史を俯瞰し、謎の事故を検証することで世界の闇を暴こうとする骨太な意欲作。ドキュメンタリータッチが巧く用いられて非常に見応えがあった。

これは高校2年ぐらいの時に観た作品だったけど、ちょっと難しくてよく分からなかったかな。でも、油田の映像やジャン・マリア・ヴォロンテの怪演なども結構印象に残っているし、機会があればもう一度観てみたい作品ですね。

【第25回カンヌ映画祭　パルムドール】
フランチェスコ・ロージが実在の石油実業家エンリコ・マッテイの死の謎に迫った社会派作品。本作はDVDはおろかVHSすら出ておらず英語字幕でみた。

ロージ作品は評価の高い『エボリ』『ローマに散る』などもソフト化されておらず現状観るのが難しい。

リアリズムタッチでマッテイの死の謎、そしてその真相を追っていた記者の失踪を追う。

かなり会話が多く、全てを聞き取れたわけではないが、マッテイが実業家にしては実直な人物だったことは分かった。取材に来た記者にも本音ととれるような衝撃的なことを言ったりと明け透けな人物だったようだ。

彼はイタリアの石油産業を引っ張った一方で、ヨーロッパやアメリカとは手を組まずアラブやロシアと手を組んでいた。そのことから彼の死は仕組まれたものではないかと今でも言われている。

その真相はここでは明確には示されないものの、公式発表と現場での矛盾があることを示したり、記者の目を通して懐疑的に描かれる。

最初に石油が噴き出るシーンは美しく、また最後に過ごしたシシリーでの群衆の迫力も素晴らしい。

社会派ながら映像でも魅せる優れた作品であることは間違いない。

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