まや

東京画のまやのネタバレレビュー・内容・結末

東京画(1985年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

ヴィム・ヴェンダース監督初の鑑賞。オールナイト上映にて。東京をカメラに映しながら、小津監督作品関連の人にインタビューするドキュメンタリー。カメラを回しながら監督の心の中の考えが聞こえた。東京がすごく美しく観えたのと小津監督作品が大好きなのがとてもよく伝わってきた。

小津監督作品で描かれるものを探すために東京に訪れるがそれはもう既にそこには存在していないのだ。海外の人とか関係なしに普遍的な家族というものを描いているという感想を聞いて驚いたし、同じような感想を抱いていることがとても嬉しかった。

また、インタビュー映像は小津監督は本当に全てに妥協なく自身のこだわりを持って撮っていたことがよくわかって本当にすごい人だなと思ったし、だからこそ作品に引き込まれるのだと思った。いつも出て来る家の中の感じが大好きだったのだが、細かいところまで監督自身で選んでいるということで、納得がいった。自分の撮りたいものが明確にあり、それを周りの人が作り出す。関係した人はみんな敬愛していて、カメラの人が一緒に仕事していた時のことを熱く語り、最後には涙もみせる。ここで涙が出てしまった。本当に幸せだったのだろうなと思ったし、人生の中で自分が涙が出るほど熱のある関わり方をしたいと思える人と出会えたことはすごいなと思った。小津監督のお墓「無」のみ墓石に書かれていてカッコよかったし、可能ならお墓参りしてみたいと思った。それから、こんな素晴らしい作品を作ってくださりあがとうござきます、という気持ちになった。

また、ヴェンダース監督の東京の切り取り方とかもすごく好きだった。花見の様子のシーン、高速道路から見る東京のシーン、ホテルでのテレビシーン、パチンコ屋さんのシーン、食品サンプルのシーンなどなどどれも本当に美しかった。すごく幻想的な感じがしたし、東京を散歩し、こういう風景を見つけに行きたくなった。ヴェンダース監督の根幹を観た気がしてドキュメンタリーなのにとても引き込まれた。
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