スタンリー・キューブリック初のハリウッドでの監督作品。競馬場の現金強奪を目論む5人の男たち。完璧に見えた計画だが、少しの綻びから歯車が狂っていくサスペンス映画。
オープニングのスリリングな音楽に乗せての競馬場での場面から、もうキューブリックの魔術にハマってしまいます。無駄なくあっという間に見せきる85分。ただでさえ短いのに更に短く感じるほど。
フィルムノアールと言われる単語をこの時代から確立したのも凄いし、その内容も余計なギミックは一切無し。巧みな脚本にグイグイ引き込まれる音楽など誉め出したらキリがないレベルです。
終盤なんか次から次へと状況が目まぐるしく変わりまくり、この強盗の結末がどうなるか、気にならずにはいられない作りにしているのも流石。そのラストの落とし所もお見事でした。
登場人物たちの同時間帯での行動の見せ方、ナレーションを使っての状況説明も観客を混乱させない巧い演出。やっぱりキューブリックはいつの時期でも凄い映画作るなぁと改めてその才能に感服した一作です。