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武士の一分(いちぶん)のまるまるのレビュー・感想・評価

武士の一分(いちぶん)(2006年製作の映画)
3.8
さるやんごとなきお方から
昔NHKでやってた時代劇「腕におぼえあり」を下賜されてから
藤沢周平モノがお気に入り。

山田洋二監督の「隠し剣鬼の爪」を観た。面白かった。
続いて今日観てきたのが「武士の一分」。
現代と、きちんと地続きになっている過去って感じの雰囲気は
前作「鬼の爪」と同様に、この映画の色合いを決定づけてた。
ファンタジー・SFとか、オサレな映画とか、敷居の高い映画とか、
血の気がやたら多い時代劇を観るときに感じる
自分を映画にあわせる感を感じることなく、
映画の中の住人になりきって観る事ができた。
このへんは、人物の描きかたなんでしょうね。
自然に映画に没頭できて心地よかった。
そんなふうに、普段の空気の中で観ることが出来るので、
斬り合いや人が死ぬということ、
そしてその剣の一振り一振りが、
あれだけ恐ろしく、またよっぽどの事に感じるんだと思う。
こんな時代劇ってこれまであったのかな?
他の山田作品も観てみようと思った。

それにしても、お侍さんの世界は厳しい。
小林捻侍の切腹までの下りは、ちょっと見ていられなかった。
お上は絶対なのが封建社会。
こんな社会でウチのご先祖様も生きてたんだろうなぁと思うと
過去から営々と積み重ねられてきた
現代までの時間の重暗さに、思わず合掌。
まあ、ウチの先祖がお武家様かどうかは知らないけどw

武士の一分。
「鬼の爪」ほどスッキリしなかったのは
悪玉、坂東三津五郎侍が最後に見せた武士の一分が
あまりに潔かったからなんだろうか。
キムタク侍の武士の一分と坂東侍の武士の一分。
とにかくお侍さんの世界は大変だった。

隣のおばさん、泣いてた。
やっぱり夫婦モノということで
なにか思うところがあったのでしょう
(こっちのアンテナにはさっぱり引っかからなかったが)
最後嫁が戻ってくるって気配が漂い始めたあたりから
もうズルズル言ってた。
スタッフロールはたいがい最後まで観る僕ですが、
今日ばかりは、人知れず徹底抗戦してた尿意に負けて
途中で席を立ちました。
そのズルズルしてるおばさんの前を通って…
ひたってる映画でこれやられると
感動の余韻が、ガタ減るんですよね。
よく知ってます^^;
おばさん、すんませんでした。
どうにも我慢できませんでしたm(_ _)m

なにはともあれ、面白かった。
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