コミヤ

女ばかりの夜のコミヤのレビュー・感想・評価

女ばかりの夜(1961年製作の映画)
4.6
初田中絹代監督作。あれだけ詰め込んで93分という時間に笑ってしまう。2時間持ち堪えられそうな舞台と登場人物を惜しげもなく更新する贅沢な語り口。原知佐子が最初に職に就く酒場のシーンも永遠に見たかった。ウィスキー一気飲みで誘惑されたい。なんて美しい。セクシー多部未華子。翌朝の階段での予測がつき過ぎるギャグカットとかなんなん?と愛おしく思う。白菊婦人寮の面々も曲者揃いで特に浪花千栄子の最年長の元娼婦が忘れ難い。大根摘み食いするチビも忘れない。そして寮母の淡島千景の美貌にこれは凄いと衝撃を受ける。名前覚えられないから書いておく。自分は安全地帯から女優の容姿や演技でこの作品を楽しく消費してしまっているが、切実な立場にある人が見ればそうは決してならないだろう。実感としての切実さが持てずともそのことは自覚しておきたい。陸が駄目なら海へ行く。諦念に至った屈しない眼光。
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