ドナウ

子供たちの王様のドナウのネタバレレビュー・内容・結末

子供たちの王様(1987年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

文革がテーマとは思えないほど優しく穏やかな眼差しと、この世のものとは思えない程幽玄な映像と色彩。シシ神やトトロが今にも現れそうな幻想的な世界で山奥の村にやってきた教師と子どもたちの触れ合いと葛藤を描く。教え子の王福は教師の妹に向かって先生という、すると妹は怒ってしまうという場面があるんだけど、多分王福にとっての勉強は文字を書き写すだけでしかなく、彼にとっての先生は人ではなく辞書、教師の兄ではなく辞書の持ち主の妹を先生と呼んだ、彼女ははそれが悔しかったのだろうと思った。暗記だけが勉強なのか?押し付けることが敎育なのか。そんな思いを割れたガラスに託しつばを吐きかける。何も書き写すな、辞書も書き写すなという言葉を王福に残して教師は村を後にする。ラストシーンの野焼きは長い時をかけて育んできた美しい山をあっという間に壊してしまう。それは人も文化も同じ。

驚くほどの映像美と色彩美、これにつきます…本当に。テーマこそ違えどこれもチェン・カイコーとチャン・イーモウの対になる作品の一つのように思いました。
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