Vega

小さな中国のお針子のVegaのレビュー・感想・評価

小さな中国のお針子(2002年製作の映画)
4.3
「中国の植物学者の娘たち」があまりにも良かったので同監督の本作、見直してみたがやはり大好きだ。

ルーとマオはそれぞれ医者の息子であることを理由に、下放政策に従い僻地の農村に送り込まれ肉体労働を強いられていた。ある日、彼らは村のお針子と出逢い、緩やかな三角関係のロマンスが始まる。
禁書である外国の文学を読み耽る青年たち。彼らが文盲のお針子に小説を読み聞かせる姿が艶っぽい。

上着の裏側にバルザックの小説の一節を書き移したり、ロマン・ロランの本と引き換えに医師が手術を引き受けたり、不自由な時代だがなぜか羨ましいほどの豊かさを感じてしまう。

「中国の植物学者…」同様、ダイ・シージエは女性の自律、あるいは人間性の解放とでも言うべきか、「自由」をテーマにしているように思う。

この監督の作品は少なくこれ以外のものは観ることは困難なようで、代わりに彼の著書を数冊購入した。しばらくダイ・シージエの世界に浸れることが今の私の喜びとなっている。
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