ぎー

ゼア・ウィル・ビー・ブラッドのぎーのレビュー・感想・評価

4.0
こんなに女性が出てこない名作も珍しい。ダニエル・デイ・ルイスとポール・ダノの演技を見るだけでも価値がある作品。何かに狂気的に取り組んだ男たちを描いた一作。主人公のダニエルは山師で、アメリカ各地で石油を掘削していた。ポールという男の情報で土地を入手して掘削を実施、ポールの双子の兄弟のイーライ達と対立しながらも石油を掘り当てるが、息子のHWは事故で聴覚を失う〈起〉。弟を名乗るヘンリーとビジネスパートナーになる一方で、ダニエルはスタンダードオイルの契約を断り、HWを追い払う〈転〉。弟というのが嘘だったヘンリーを射殺したダニエルはパイプラインを敷設するためにイーライの教会に入信する〈承〉。事業には成功したが孤独なダニエルはアルコール中毒の日々を送り、彼を訪れたHWと絶交し、窮地に陥っていたイーライに復讐したうえで撲殺する〈結〉。石油黎明期を描いていて勉強になる。純粋に石油王になりたい!と思った。でも、めちゃくちゃ大変そう。ダニエルもイーライも大きなことを成し遂げたが、共にそれに狂信的に取り組んでおり、人の気持ちなどは二の次にしていたから、めちゃくちゃ孤独。それぞれの野望を成し遂げるためなら、ダニエルは教会でイーライに打たれ、イーライはダニエルの豪邸で神など存在しないと絶叫する。普通の人から見たら全然おかしい!その主役2人を演じ切った狂気的な演技はめちゃくちゃ凄かった。正直結構難しい映画だったけど、何事も人を踏みにじってまで狂気的に取り組むと、例えそれが身を結んでも幸せにはならないということではないか。どっちにしろ、演技が凄まじく、それを見るためだけでも一見の価値のある作品。
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