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ゼア・ウィル・ビー・ブラッドのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

3.5
ポール・トーマス・アンダーソン監督が、一攫千金の欲望に取りつかれて、石油採掘で莫大な富を手に入れようとする男の姿を描いた問題作。
ベルリン国際映画祭で監督賞と芸術貢献賞を受賞。
原題:There Will Be Blood (いずれ血に染まる、旧約聖書出エジプト記の十の災いの中の一文、"There will be blood everywhere in Egypt."(Exodus 7:19)に由来)  (2007)

セリフ抜きのオープニング。
1898年、アメリカ西部。
山師のダニエル・プレインヴュー(ダニエル・デイ=ルイス)が一心不乱に黙々と金の採掘をしているシーンからスタート。

1902年、
金鉱の次は石油発掘に成功。
発掘の際に仲間を事故で亡くし、彼の赤ん坊を仕事に利用するために息子として育てる。

1911年、
サンディ牧場一家の息子ポール(ポール・ダノ)から油脈があると聞かされ、サンディ家の土地を買い取り、油脈を掘り当てることに成功する。
ところが、油井やぐらが爆発炎上し、息子H.W.(ディロン・フレイジャー)が爆風で吹き飛ばされ聴力を失なう。
ダニエルは用済みになったH.W.を寄宿舎に追いやる。
そんな中、突然弟のへンリー(ケヴィン・J・オコナー)だと名乗る男が訪れる。
さらに、ダニエルはバンディ家の農地にパイプラインを通して儲けようとするが、領主ウィリアム(ハンス・ハウェス)は土地を売る見返りに「第三の啓示教会」の洗礼を受けるよう持ちかける。
地元の人から信頼が厚い「教会」の牧師"預言者"イーライ(ポール・ダノ)はサンデー家の息子ポールと双子で、当初からダニエルと確執があったが…。

1927年
・大人になったH.W.とサンデー家の娘メアリー…。
・そしてイーライ…。

"ボーリングのピン"

「私は競争心が強い、他人を成功させたくない。人を嫌悪している。人を見ても好きになることがない。十分な金を稼ぎ、全てのひとから遠ざかりたい」

「万人救済主義は嘘です。全ての救済を願っても救われない者がいる。あなたは決して救われはしない。もし、あなたが血を拒むなら」

「私は偽預言者。神は迷信に過ぎない」

「終わった」

人間のどす黒い欲望、宗教がテーマ。
音楽はジョニー・グリーンウッド。ラストの楽曲だけ、ブラームスの「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77 第三楽章」で、逆説的に明るく締めていて、一層、後味がよくない。
なお、映画は2006年に亡くなったロバート・アルトマンに捧げられている。
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