Kumonohate

白昼堂々のKumonohateのレビュー・感想・評価

白昼堂々(1968年製作の映画)
4.4
筑豊の廃坑で、40人のもと坑夫とその家族の面倒を見るべく、スリ集団を率いている親分(渥美清)。もと一流のスリの親分だったが更生し、デパートの保安員として働いている娘思いの父親(藤岡琢也)。一匹狼のスリで一流の腕を持つ美女(倍賞千恵子)。そんな彼らが結託して挑む大仕事。対するは、かつて渥美や藤岡との対決に血潮を燃やし、彼らとの間には友情も流れている、定年間近の人情刑事(有島一郎)。

もう、この設定を聞いただけでワクワクする。

全体を包んでいるのは人情喜劇。そして、設定が設定だけに、ペーソスとアイロニーが随所に散りばめられている。そしてクライマックスに用意されているのは、手に(少し)汗握るサスペンスと感動話。そんな贅沢な物語を、上記の4名に加えて、田中邦衛やフランキー堺などといった芸達者たちが支える。特に、ダブル主演である藤岡琢也&渥美清のコンビが最高。グイグイとストーリーを引っ張る藤岡に対し、1人で屋台骨を背負わなくて済むためか自然体な渥美、カッチリはまった両者がドラマに軽快なリズムを作り出している。勿論、厳しいながらも優しさ溢れる有島一郎や、ドライで二枚舌で蓮っ葉でフトモモ露わに啖呵を切る倍賞千恵子も素晴らしい。

スリだろうと刑事だろうと勝ち組だろうと負け組だろうと正直だろうと嘘つきだろうと関係無い。みんな精一杯生きているんだ!という人間賛歌。傑作!
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