12時の列車でヤツが来る
列車の到着シーンは、迫る正午、皆が固唾を飲んで時計を見つめる張り詰めた空気と、それを裂いて鳴り響く汽笛の絶望感を、それまでに何度も時計や地平に続く線路を映していたことでより強く印象付けていて良いシーンだった。
利己的な街の人たちに悪感情を抱いて観ていたが、ともすればケインの行動も利己的で、だとしても「今まで街のために働いてきたのに!」という怒りは尤もで、かつて憧れた先輩の語る保安官の報われなさについての言葉がジワジワと沁みる。
「これからもお前らは好きにすればいい」と言いたげな表情でバッジを捨てるラストシーンはあっさりと小気味良い。
グレイス・ケリーが可愛くて、活躍はしないけれどハーモニカを吹いて怒られるリー・ヴァン・クリーフの出演が嬉しい。