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娼婦ベロニカのぴろぴろのレビュー・感想・評価

娼婦ベロニカ(1998年製作の映画)
4.0

舞台は16世紀のヴェネチア。実在した詩人ベロニカ・フランコの華麗な半生を映画化したラブ・ストーリー。タイトルだけ見ると、そういう系?(一体どういう系だ)と勘違いしてしまいそうだけれども、そういうんでは無くて、なかなか見応えが有り、スカッとする。観て良かったし、風景も良いし好きな映画。長男が小さかった頃、隣にアメリカ人のご家族が住んでいて、そこの奥さんがTSUTAYAでレンタルしたDVDで気に入った作品があると、私によく貸してくれた。この作品もその中の一つ。

好きになった男性とは家柄が違って結婚する事が出来なかった時代、自身も高級娼婦だった母親からの勧めもあり、高級娼婦となるベロニカ。母親が娘を娼婦にするというのも驚きだけど、この母の手ほどきもあり、生まれ持った美貌とセンスで高級娼婦としてトップに。大臣や官僚たちの寵愛を受けるようになる。
やがて、国が退廃し伝染病が蔓延するヴェネチア。これは娼婦のせいだ、魔女なんだ!と、ベロニカたち娼婦が裁判に。この裁判の傍聴席には、彼女と関係を持った実力者、権力者たちがたくさんいて。かつてベロニカに束の間の愛と夢の時間をもらった男たちが今度は…と こんな話。

興味深いのは、当時の女性は図書館に出入りが出来なかったのに、高級娼婦は入れるし、高級官僚たちのパートナー的な存在だったこと。奥様方よりずっと自由。男たちが政治の話なんかをしてる席に同席していたりする。 銀座の高級クラブのホステスさんは、こんな感じなんだろうか。高い教養が問われる職種、美貌と知識と礼儀作法、気高さ、豊かさ、ユーモア、トークのセンスなどを身に付けたトップ・クラスの高級娼婦には、誰でもなれる簡単なものではないと思う。
このベロニカを演じるキャサリン・マコーマックは『ブレイブ・ハート』のあの人で、『スパイ・ゲーム』のあの人でも出ていて、芯の強さがある女性の役だった。『スパイ・ゲーム』の時は、別な人が良かったと勝手に思ったりしたが、ベロニカ役はハマっていた。 やはりとても芯の強い、プラス妖艶で美しい女性。

ところで、邦題で損をしている映画は数知れず有ると思うが、この作品もその一つだと思うのだ。他に無かったのかな。
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