すずき

ピクニックatハンギング・ロックのすずきのレビュー・感想・評価

3.7
1900年2月14日、オーストラリアのアップルヤード女学校。
授業料滞納のセイラを除いた生徒達は、巨石が立ち並ぶ岩山へと課外授業へと出掛ける。
しかし楽しい遠足になるはずが、3人の生徒と引率のマクロウ先生が行方不明となってしまう。
警官や市民は彼女らを必死に捜索するも、遂に見つけられなかった。
センセーショナルなこの事件で女学校の評判にも傷が付き、校長は追い詰められていく…

神隠しを題材にした作品で、監督は「トゥルーマン・ショー」のピーター・ウィアー。
行方不明となった女子校生の視点から事件を描いた作品かと思いきや、その事件が与えた影響で運命が大きく変わった人々を描いた群像劇。
夢の中を朦朧とするような幻惑的な映像と、19世紀末のファッションが素敵。

劇中で事件の真相は描かれないが、何か超自然的な力が働いている事が朧げに示される。
そのオカルトの描き方はキリスト教文化のヨーロッパではなくて、自然信仰の日本的に近いように感じた。
舞台が「森」だったら魔女や怪物の仕業なんだけど、本作の舞台は蝉時雨が響く「山」。
巨石が立ち並ぶ不気味なそこは、一神教のgodではない「神」の存在を感じさせられる。
山の神・石の神の類には結構厄介な存在多いから、彼女たちもそういった存在に魅入られていまったのかねぇ。

日本だったら「お前ら、あの山に立ち入ったんか!!あの山は昔から〜」と事件の後から警告してくれる村の長老が現れるんだけど、ここは歴史の短いオーストラリア。
町の人々の間には特に伝承などは伝わっておらず、事件の真相はは謎のままなのでした。アボリジニーは何か知ってそう。