Sikimi

ヒッチャーのSikimiのネタバレレビュー・内容・結末

ヒッチャー(1986年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

ブレード・ランナーでもそうだったが、ルドガー・ハウアーの造形が芸術すぎる。
ジョン・ライダーがまさしく絶対悪。
見ている側は、なんかきっかけがあるんじゃないかとか、なんかどんでん返しがあるんじゃないかと思って見続けるが、本当の悪に理由など無いと行ってのけるかのごとく、ジョン・ライダー自体のパーソナルは明らかにならない。

何故か重火器の扱いが異常に上手いことから、元軍人説や元警官説、はたまたアンドロイド説まで出る今作
主人公自体が成長していくようで、ナッシュの死などを受けどんどんジョン・ライダー側に近くなっていく様は見事。

おそらく公開当時人気がなかったのも、キリスト教がメインのアメリカでは、まだまだ絶対悪という存在自体が理解出来なかったんだろう。
後半20分の追う・追われるの反転は必見。

低予算映画であることは誰の目にも明らかだが、脚本さえ力が入っていれば十分に傑作になるという方向性を示した作品としてはSAWなども近いかも知れない。
あちらは絶対善というプロットに対して、力を行使することが悪ならそれも甘んじるというタイプのヴィラン感としては本作と少々趣はおこなるが。

絶対悪だからこそ自分を止めることが出来ず、自分が決めた人間に止めてほしい。でも悪だからこそそのまま受け入れることは出来ず、正面から戦って倒してほしいという願い
そしてその主人公との関係値を壊そうとするなら、たとえ国家権力の警察であっても粉砕するという意志が伝わってくる。

金をかけず、演技で売る。
その執念を感じた、今なおカルト的な人気のある映画である理由がわかった良い時間だった。
Sikimi

Sikimi