May

ゴーストワールドのMayのネタバレレビュー・内容・結末

ゴーストワールド(2001年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

コミカルな会話を魅力的なキャラクターたちが軽快に繰り広げ、今にも爆発しそうな思春期の起伏を包み込む街の空気感がスクリーンに充満していた。鑑賞後のこの幸福感の高さはなんだろうか。

ソーラ・バーチ演じるイーニドは、どこか理屈っぽく無愛想で、客観的にこの世界を見ているようで。バーにいる男たちを眺める彼女の表情には皺が寄っていて、だいたいの男はスカーレット・ヨハンソン演じる友達のレベッカばかりに声をかける。そんな彼女の世界に現れたのはオタクで冴えないおじさん、シーモア。
イーニドはシーモアに恋人をつくらせようと奮起するが、何か純粋にその目的に向かっていない不安定さが可愛らしく、それらの全てに純粋さが溢れている。本当はシーモアと付き合いたいんじゃないかと決めつけるのもなんか違う感じがするのが、イーニドという人物の魅力だろうか。就職して一人暮らしを始めるレベッカとの仲には亀裂が入っていき、なにか対照的になってしまうのもとてもリアル。
そしてラストは、夢だと語っていた街からの失踪をイーニドは叶える。でもすぐに街に帰ってきそうな気もするし、一生帰ってこない気もする。そんなぶらぶらした青春の彷徨いが描かれていて、私はめちゃくちゃに好きな作品だ。


近年の作品だと『レディバード』や『ブックスマート』などが想起されて、この作品の影響の大きさを感じざるを得ない。
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