明石です

ボーダーの明石ですのレビュー・感想・評価

ボーダー(2008年製作の映画)
3.8
悪人を駆逐にするためなら恐喝も殺人も厭わない暴力刑事が、街に蔓延る悪人たちを殺して回る話。「スタスキーハッチ」や「ダーティハリー」を彷彿とさせるような内容のいかにもアメリカ人が好みそうなオールドファッションな刑事もの映画......と思いきや違った。もっと過激でした。

凶悪な犯罪を犯しながらも裁判で無実になった極悪人たちを掃除して回る刑事。しかも殺した相手のもとに詩を置いていき、それを連続殺人鬼による犯行に見せつける周到さを持ち合わせている。設定の時点ですでに面白いですね。原題からもわかる通り、相手が悪人たら私刑を加えても良いのか、というテーマですね(なんだかデスノートみたい)。

主演はロバート・デニーロとアル・パチーノ。言わずと知れたお二方ですね。ずっと見たいと思っていたものの数年間敬遠していた本作をようやく視聴。「ヒート」があまりに素晴らしかったので、そこと落差を感じるのもなと思いこれまで避けてきたのかも。もちろんヒートに比べればスケールは落ちますが、それでも作品としての面白さは折り紙つきだと思う。「私はニューヨークで警官をやっていた。30年間勤めたが、そのあいだに14人殺した」というなんともサイコ味のあるデニーロの独白から始まる。この出だしでもう惹きつけられた。最高の映画がはじまるぞ!と興奮しちゃった。

結局私はロバートデニーロが好きなんだなと思った。デニーロが出てればどんな映画でも楽しめる。単純ですね。大好きな恋人とのデートたらどこに行っても楽しめるみたいな心理笑。デニーロのサイコパスっぽい演技が最高でした。

それにしても主人公2人の名前が「ターク(七面鳥)」と「ルースター(鶏)」絶妙にカッコ悪い名前笑。物足りなさを感じたのはアルパチーノの役回り。闘犬みたいに暴れん坊で自我の効かないデニーロをなんとか押さえつける堅物刑事がアルパチーノ。むしろ逆じゃない?とは正直思った。アルパチーノの役のほうが大人しいなんて煮え切らぬ!と思ってたら最後にまさかのどんでん返し。伏線の張り方がやや甘い気はしますが、そこは俳優の演技で押し切った形なのかな。あとついでに言うと邦題の「ボーダー」はなんのこっちゃわからない。子供にとりあえずユウタとかタカシって名づけるみたいな、当たり障りない代わりに個性のないタイトルをつけるのはやめたほうがいいと思う...せっかくこれだけ豪華なメンツで撮られてるのだから。

もちろん、その辺りを差し引いても良作でした。

——好きなセリフ——
Most people respect the badge, everybody respects the gun.「大勢がバッジを敬い、全員が銃を敬う」
明石です

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