やったカニ

スワロウテイルのやったカニのレビュー・感想・評価

スワロウテイル(1996年製作の映画)
3.7
字幕付いてなかった。劇場で公開された当時に字幕が付いていたのかは知らないけど、無くて良かった。その分セリフから読み取れるモノは少なくなってしまって、いまいち理解できない箇所もあったけれど、大事なのは話の筋じゃない。生きるために獲得した外国語。腹の底に溜まった感情を、言語の壁のせいでうまく伝えられない時のコミュニケーション。演技が凄い。

日本人としてイェンタウンに生まれたアゲハは日本に属さない。国籍の点からも、意識の点からも。さらに幼くして親を亡くしているため、あてにするのは当然身を置いている環境や人たち。偽札で稼いだお金でライブハウスを取り戻そうとするシーンが凄く切ない。
もう善悪の判断はついいている。でも寄り縋る場所がないと私はやってられないんだ。
それでもだめだと分かったとき、アゲハはフェイホンの遺体と共に札束を燃やす。胸のイモムシが、成虫になるのと重なる気がする。

子供たちがお札を破いたり、穴開けたりするシーンすごい好き。
やったカニ

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