上流階級で英才教育を受けている受験生（伊藤幸雄）が、遠縁の既婚女性（野平ゆき）に恋い焦がれるあまり、身をやつしてしまう。女性の娼婦性を識るまでの過程を描いている、日活ロマンポルノ。レイモン・ラディゲのフランス文学を原作に取っている。

他のロマンポルノよりも、多くの予算を注ぎ込んでいる、大作扱いの作品。全編に流れるバロック音楽と、じっくりと腰を据えたカメラワークが、格調の高さを生み出している。その雰囲気作りは、さすがと言いたい。

前半部は童貞君のスタンダードなジタバタ劇。後半部は「肉体と精神が分離した状態での性意識」を、年上の女性から諭されるパターン。脱童貞のために商売女を買ったら、あき竹城が出てくるシーンに大笑い。

女性の思考が理解できずに懊悩煩悶する青年の、普遍的なキャラクター像が見事に表現されている。そして、主演女優・野平ゆきの、まるでローティーンのような華奢な肉体が、あまりにも儚い。

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オープニングの気合がやたら物凄い。白坂名義だけど半分くらいは桂千穂が書いたんではないかなと思わせるヒロイン野平ゆきの人物像（野平ゆきが白坂先生の好みの女優なのは歴然）はじめのほうのあき竹城と日夏たより親子やスナックのあたりは白坂先生ぽいか。全然違いますよアナタ、ってなったらすみません。

親戚の葬式で知り合った婚約済みの年上のお姉さんとその女性に恋する大学受験勉強中の童貞。初めて2人がやった部屋が色が白と青しかなくて不気味。ラストはもっとすごいが‥‥。やりながらだんだんと西日が射してくるのがなんともたまらない。夜になったら女の方が「もうさわんないでよ。眠いのよ」ですからね。童貞泣きますよ。童貞ー女ー婚約者のワンショットでの視線のやりとりなども少しありなかなか面白かった。2人が二階でやってる最中に、母親が一階で掃除機かけながら、だんだんと息子の部屋にちかづいてくところベタだが良かった。最後も童貞があるの人の葬式に向かうところで終わる。西村昭五郎の映画はなにげに円環構造で終わる映画が多い気がする。