Omizu

マグダレンの祈りのOmizuのレビュー・感想・評価

マグダレンの祈り(2002年製作の映画)
3.8
【第59回ヴェネツィア映画祭 金獅子賞】
ケン・ローチ『マイ・ネーム・イズ・ジョー』で主演しカンヌ映画祭男優賞を受賞した俳優ピーター・ミュランの監督作品。原案はジューン・ゴールディングによる同名の回想録であるノンフィクション作品。

1996年までアイルランドに実在したマグダレン洗濯所(マグダレン精神病院)を舞台とした心理ドラマ。

観ていて本当に辛い映画。婚外交渉をしたというだけでこの刑務所のような施設に入れられてしまうなんて。しかも3人の主役のうちマーガレットはいとこにレイプされた側なんだよ!?それなのに・・・

精神的にも肉体的にも苦しめられる虐待に満ちたマグダレン修道院、逃げ出したくてもできない恐怖に苦しめられる女性たちを上手く捉えている。

強烈だったのはシスターが女たちを裸にして「誰が一番デカパイか」などを決めるというシーン。そして神父が立場の弱い女性にフェラさせているのをみつけるシーン。

トリアーとかハネケとかがやったらとてつもなく重く苦しい話になりそうだが、ミュラン監督はそこまでではない。もちろん実際に起きた虐待は辛いのだが、最後は爽やか。希望のある終わり方にしていてよかった。

こんな前時代的な施設がカトリックの名の下に1996年まであったというのが驚き。そこで監禁された女性たちは3万人にのぼるという。とてつもないことがあったんだな。

人権を奪われ、虐待されて亡くなっていった女性たちに心から哀悼の意を表したい。
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