Eirain

007/カジノ・ロワイヤルのEirainのレビュー・感想・評価

007/カジノ・ロワイヤル(2006年製作の映画)
3.4
「007」映画シリーズ第21作。第6代ジェームズ・ボンドとなるダニエル・クレイグの初めての作品で、イアン・フレミング原作の同名小説の3度目の映画化。(3度目だったのか。2度目だと思っていた。)

シリーズ作品を追っていた人には、本作はちょいと戸惑ってしまうのではないだろうか。「"007"始まりの物語なのに、"M"はジュディ・デンチ?」、「冷戦時代に敏腕エージェントとして活躍してたのに、時間軸おかしくない?」などなど。調べてみると、本作はこれまでの映画シリーズとは別の"新生ボンド"ということで、冷戦時代に活躍した設定はなくなっているとのこと。さすがに時代背景的にも年齢設定的にも無理が出てきて、シリーズを続けていく上で必要な舵取りだったのだろう。

「007」映画シリーズと言えば、イアン・フレミングの原作タイトルだけ借りて、中身は全くの別物というのが定番だったが、今作は比較的忠実な映画化とのこと。冒険スペクタクル色のない「007」映画というのは、これまでの映画シリーズを追いかけてきた者としては「これは"007"なのか?」と戸惑いを覚えるが、このハード&ストイックな雰囲気が本来の作風だったのかもしれない。(原作には当たったことがないので。)

これまでの映画シリーズから大きく方向性を変えた本作。これはこれで"あり"なのだが、正直な感想としては「これって"007"じゃなくてもいいんじゃない?」。「秘密道具を駆使して鮮やかに任務を遂行する敏腕エージェントの壮大な冒険活劇」というのが、これまでの「007」映画シリーズの醍醐味だった。本作に「007」映画"ならでは"な要素があったかと思い起こしても、残念ながら思い浮かばない。「単なる良質なスパイアクション映画」という印象が強く残ったように思う。
Eirain

Eirain