月うさぎ

アメリの月うさぎのレビュー・感想・評価

アメリ(2001年製作の映画)
4.0
今日はお出かけする気がしないというちょっと寒い日曜日の朝におすすめ。
アメリの笑顔とゆるい笑いの世界が心をほんのり温めてくれる。

絵画のようにキレイでオシャレな映像とオドレイ・トトゥの笑顔がキュートな
ロマンティック・コメディ。(ミステリアスで幻想的でちょっとだけエロティック)
アコーディオンをフューチャーした遊園地を思わせるヤン・ティルセンによる音楽もいい。

23歳のアメリ・プーランはモンマルトルのカフェ、ドゥ・ムーランで働く「ちょっと」おかしな女の子。
好きなことは、豆袋に手を入れることと、クレーム・ブリュレのお焦げを壊すこと。
気晴らしは水切り。密かな楽しみは…!?

アメリの空想癖は、心配性で子どもに冷淡な医者の父と情緒不安定で厳格な教師の母の元で、
学校へもいかず子どもと接触することもなく孤独に育ったことによる。
けれど持ち前の遊び心と好奇心はアメリをユニークな女の子に育てた。
内気ではあるけれど人間観察は大好きで覗きが趣味だったりする。
そして彼女を怒らせると怖い復讐が待っているのだ(^O^)(お気の毒さま)

人に心を開いた経験のないアメリだったが、彼女も変わりたいと思っていた。
40年も前に隠された少年の宝箱を偶然発見した時、
「持ち主を探し当てて返してやろう。彼が喜んでくれたら自分の世界から飛び出そう」と。心に決める。

まずは他者の人生に関わることだ。
(アメリの場合そのやり方が不器用で遠回りなので、そこが滑稽なのだ)

アメリのアパルトマンやカフェに集う人々は皆、ちょっとヘンで欠点のある人ばかり。
けれど人間ってその欠点が個性だったりする訳なんだな。と思わされる。
アパルトマンの住人、「ガラス男」ことレイモン・デュファイエルは20年間外出したことがないという絵描きの老人。
ルノワールの「舟遊びの昼食」の模写を毎年1枚ずつ描き続けているという。
彼の後押しでアメリは自分の人生の軌道修正へとさらに一歩踏み出す決心をするのだった。


この映画で描かれているのはヘンテコな世界。

いままでにみた映画の中で最も意味不明で最低の映画だったと語った知り合いの男性がいる。
そう感じる人がいても仕方ない映画かも知れない。とは思う。
だけど注意して見て欲しい。実はとっても平凡な暮らししか描かれていない。
カフェで働くことも、さえない男の子と恋愛することも、ごくツマラナイことだろう。
誰もダイアナ妃のように劇的には生きられない。
それでも仕掛けひとつでファンタジーは生まれる。こんなふうに。
スキンヘッドの謎の男の正体がわかっただけでこんなにもワクワクした瞬間を味わえる。
人生はワンダフルだよ。見方ひとつで。
そうは思えないだろうか?

だからアメリが幸せに笑った時、私たちも幸せになれるのだ。
アメリは私自身なのだから。


《追記》
アメリのカフェもメリーゴーランドもあの食料品店も実際にあるんですって。
セットで撮られていない映画って、ロケ地めぐりっていう楽しみ方もできますね。
モンマルトルに行きたくなります。
映画が世界の見知らぬ街を身近な街に変えてくれるなんて素敵よね♪
月うさぎ

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