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スケアクロウのevergla00のネタバレレビュー・内容・結末

スケアクロウ(1973年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

ヒッチハイクで出逢ったムショ帰りのMaxと元船乗りのLion。Maxのアイデアで洗車ビジネスを始めようとPittsburghへ向かう。途中LionはDetroit に寄って子供に会いたいと、プレゼントを持ち歩いていた。

計画も資金もあると言いながら、町から町へと放浪し日雇い労働に従事、夜は酒場。行き当たりばったりの暮らしは社会の底辺に近い。

誰も信じないと公言し、非常に短気で好戦的なMaxに対して、人を疑わず、常に周囲を楽しませようとひょうきんに振る舞うLion。Maxの暴力が原因で共にDenverで足止めを食らっても、責めずに不機嫌なMaxを気にかけるLionの優しいこと。のちにLionは、自分もMaxも、笑いで禍害を回避する scarecrowsなんだと語ります。カラスがかかしで楽しんでいたとしても、足休めに使われたり突かれたり、雨に晒されたりして、畑が荒れない代わりにかかし自身はどんどんみすぼらしくなっていく。Maxは自分がLionを相棒に選んだと言いましたが、先にMaxの気を引いたのはLionでした。2人の言動に顕著な変化が見られるのは刑務所の件以降ですが、Lionは最初から2人が似た者同士であることを見抜いていたのかも知れません。

Maxが「かかし」になってでも守りたかったのはLionとの友情。
Lionが「かかし」として守り続けたかったのは子供。
季節は巡る。世界は変わる。
けれど、守るもの、守りたいものを失った時。
枯れ果てた土に佇むかかしの絶望と孤独。

プレゼントととして抱えていたランプは、Lionの希望の象徴だったのでしょう。
また、夢見がちな男性達に比べ女性陣のほうが、地に足を付けて現実的に生きているように見えました。

Lionの人の良さに感心して、彼目線で鑑賞しているとエンディングはとても切ないです。
続編の脚本はあったそうですが、とうとう製作されることはなかったですね。

若い!Pacinoの演技が素晴らしいです。同一人物がGodfatherを演じたとは思えないくらいでした。

Mickey役はGene Hackmanのbrother。

“….. just because the world goes on changing, you know… it changes.
There's nothing you can do about it.”

“Scarecrows are beautiful!”
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