Pinch

エンター・ザ・ボイドのPinchのレビュー・感想・評価

エンター・ザ・ボイド(2009年製作の映画)
4.0
性と誕生、生と死、輪廻転生――誰にも分からないこれらの謎。愛も憎しみも正義もカネもヒトも暴力も犯罪もドラッグも、これらの回りを虚しく飛び回るだけ。何度生まれ死んでも安らぎに至ることは決してなく、無益な事象が繰り返される。やっと抜けられるかと思ったらまた来ちゃうんだ。頑張ればどうにかなるかもな。ならないことが圧倒的に多いけどね。人生は過酷。世界は沈黙してうごめくのみ。ちょっと進み、大きく後ずさりし、珍しく大幅に進み、また大挙して後退し…。意義のある人生は一生懸命生きる価値があるという「有」のテーゼに敵対して叩きつけた「無」のアンチテーゼ。人生が「有」ではないことは明らかだ。

個人的には、無駄な映像でごまかさずに正面切って対決し表現して欲しいと思ったが、それをやると陳腐な主張を込めた凡庸な映画になる危険が高い。これで仕方なかったのだろう。
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