1893年に南アフリカに赴いたイギリス領インド出身の若手弁護士で、有色人種に対する差別への抗議活動を行って逮捕されたものの無抵抗の堂々とした態度が称賛されたマハトマ・ガンジー。その後世界大戦中の1915年に故郷へと戻った彼が、いかなるときでも非暴力を貫くことで人々の支持を得てインド独立の父となる様を描く伝記映画です。
『大脱走』『ドリトル先生不思議な旅』らに出演して俳優としても活躍したリチャード・アッテンボローが幾度と企画が頓挫しながらも辛抱強く企画を練り続けて実現させた1982年公開作品で、世界に広く知られる偉人の半生を丹念に描いたことが評価されてオスカーでは11部門ノミネート、作品賞含む三部門を獲得する等高く評価されました。
ほとんど「聖人」レベルの実在の人物を描くプレッシャーに屈することなく三時間の長尺でじっくりと向き合い、素晴らしい存在感を披露するベン・キングズレーの演技を盛り立てます。非暴力が単に「無抵抗」と同義ではないこととそれが波及していく様を随所で描き、それでも訪れる無情な最期でまだ残された宿題を提示している一作です。
