舞台で大ヒットしたニール・サイモンによる戯曲を、ジャック・レモンとウォルター・マッソーを主演に据えて映画化。
二人の演技合戦が楽しく、また、サイモン自身による脚本も行き届いていて、終始ニコニコできる秀作でございます。
魂が抜けたような風貌で街をさまよう、フェリックス(ジャック・レモン)は、自殺しようとしてホテルに入るがうまくいかない。
一方、妻と別れて独身生活を謳歌しているオスカー(ウォルター・マッソー)宅には、週末になると仲間が集まり、ポーカーをしていた。
この日も、仲間とポーカーを楽しんでいたオスカーたちだったが、フェリックスの妻から、「夫が自殺しようとして外へ出て行方不明になっている。失踪の原因は離婚だ」という電話が入る。
実は、フェリックスもこのポーカー仲間であり、この日、オスカー宅に現れないのに少し心配をしていたのだ。
まさか・・・という最悪な状況がオスカーたちの脳裏をよぎる中、フェリックスが訪れ・・・
というプロローグで始まる物語は、その後、性格がまるっきり違うフェリックスとオスカーが同居するという展開になるのですが、この二人の性格の違いから生まれる様々なすれ違いによる笑いが連続する。
家の掃除も料理も何もせず、自宅は荒れ放題のオスカー宅に、綺麗好きで神経質なフェリックスが、それまで彼なりの自由な生活を送っていたところに踏み込んできたのだから、ひと悶着起こらないはずがない。
すこしずつかみ合わないセリフの応酬に見応えがあり、小さな怒りがだんだん大きくなっていくところなどは思わず「上手い」と唸ってしまいそうな見事なストーリーテリングである。
お互い、妻に逃げられており、自らも認めているダメ人間同士なのだが、お互いの境遇に共感すればするほど対立が深まっていく様子も面白い。
ある日、オスカーが、二人の美女を自宅に招いて、よろしくやろうと画策するのだが、おいしいところを全てフェリックスが持って行ってしまう過程など、ツボを外さない完璧な間で笑わせてくれる。
二人の共同生活にうんざりしているところに、事態を知らない他人であるポーカー仲間たちも割り込んできて、さらにうんざりなんて場面も面白い。
エンディングもお見事。
日本なら、三谷幸喜あたりがやりそうな題材だなと思いました。